ダイソー スタンドライト LED 化


お約束

私の手元では改造して LED 化できていますが、成功を約束するものではありません。 改造作業は 基板切り出し、はんだ付け作業、プラスチック切り取り、接着剤固定などを行います。 どれも安全な作業ではありません。 手や目などの重要な体の部分の保護、半田煙・溶剤蒸気などを直接吸気しないようにする保護、 作業後に出る廃棄物の処理などを確実に行ってください。
高出力化について幾つか示唆します。 しかし、高出力化によって電池、部品、LED の発熱が増大したり、寿命が 短縮してしまう可能性があります。 過大な発熱によって、プラスチック、接着材等が変形、あるいは発火する 危険もあります。十分な監視の下、動作テストを行い問題がないことを確認する様お願いします。

改造対象

ダイソーで売っているスタンドライトを LED 化してみました。下の画像のような品です。 ダイソー懐中電灯の中でも、電気伝導に使っている金具が鉄製で半田付けがしやすいのが特徴です。電源は単三電池 x 4 のまま改造します。
ダイソースタンドライト - これは LED 改造後の画像です
手持ち式(スティック型)懐中電灯の改造は「ダイソークリップ付き懐中電灯 LED 化 (4 個点灯) 」を参考にして下さい。
ノート: ダイソー懐中電灯の金具はステンレス製のものが多いです。 今後のロットや商品入れ替えでステンレスに変わってしまった場合は、ステンレスに半田付けをする必要があります。 ステンレスに半田付けをする場合は、専用のフラックスを使います。専用フラックスが無い場合は塩酸で代用できます。 塩酸を基剤としたサンポール、(ダイソー製トイレ洗浄剤)ナイスを半田付けしたい部分に薄く塗布して半田を盛ります。 錆を防ぐため、半田を盛った部分を水洗いをして下さい。

回路図・部品

次の図が回路図(リンク先は LTspice のソースと PDF です)です。電源を Vcc と記述しているけど気にしないで下さい。 D2 が入っているのは Ton 時間を Toff より短くしたいためです。ダイオードは温度依存性が大きいので、温度によって少し明るさが変わると思います(それより、 電池電圧変動の影響の方が大きいかもしれません)。定電流化が考えられますが 30mm x 30mm の大きさに収める必要があるので、簡素な回路になりました。 電池が減れば素直に LED は暗くなります。

次は部品表です。日米、千石、秋月、鈴商あたりを巡れば手に入る材料です。配線材料、絶縁テープ(カプトンテープを使っています)、接着剤などは含んでいません。
部品 個数 部品番号 ノート
OSPW5111A-Z3 4 Dled1 - Dled4 秋月で 10 個まとめ買いしたものです。選別します。 樹脂に気泡が入っているものがあります。他の白色 LED でも構いません。 If に合わせて回路定数を変更する必要が有ります。
LMC555 1 U1 バイポーラ型の NE555 は使えません。発振周波数を高く、出力の振幅を大きくする必要があるためです。
2SK2796(S) 1 M1 秋月のスポット販売で入手したものです。千石で売っている 2SK2231 で代用可能です。 異形状でも良ければ 2SK1772(秋月), 2SK2961(千石) が使えるかもしれません。
11EQS06 1 D1 千石で入手したものです。秋月の 1S3, 1S4 で代用可能です。 VRRM=30V, IF=1A 有れば十分です。 一般整流ダイオード(例えば 1N4001 など)は使えません。
1S2076A 1 D2 スイッチングダイオードならば種類を問わず代用できます。例えば 1SS133, 1N4148 が使えます。
フェライト・ビーズ 1 L2 特に品種はこだわりません。似たような形のもので構いません。無い場合は R3 33Ωを FET のゲートに接近させて下さい。
1.5KΩ 1 R2 LED に流す電流を決定します。次の表はシミュレーションで R2 の値と LED に流れる電流を見積もったものです。 LED の If で示された定格に収まるよう調整する目安にしてください。
R2(Ω) LED 電流(A)
1.5K 10m
1.6K 13m
1.8K 21m
2.0K 24m
2.2K 27m
ノート:電池電圧 6.0V、内部抵抗(4個で)1.0Ωという条件で計算してあります。 オキシライド電池の様に初期電圧が 1.5V を超える電池を使う場合は電流を少なめにして余裕をもたせて下さい。
4.7KΩ 1 R4 この定数の物を使ってください。
33Ω 1 R3 33Ωから22Ωの範囲で代用可能です。
47uH 1 L1 直流重畳許容電流が 200mA 以上の部品を使ってください(4mm 角, 高さ 2mm 以上ある表面実装部品なら大抵クリアしているはずです)。47uH の定数を変更る場合は C4 の定数も変更する必要があります。 {L1, C4} = {33uH, 330pF}, {47uH, 470pF}, {68uH, 680pF}, {100uH, 1000pF} の様に比例するように変更してください。ノイズの放射を小さくしたい場合は、閉磁路型を使ってください。
注意: アキシャル・リード・タイプ(挿入実装型の抵抗器と同様の形状)の小型コイルは小信号用に作られている場合が多いです。 直流抵抗が大きく、許容電流が小さいため不向きです。
470pF 1 C4 種類は問いません。普通のセラミック型が使えます。 定数を変更する場合は、すぐ上の L1 47uH のノートを参考にして下さい。
1.5uF 1 C1 0.47uF から 2.2uF 程度の範囲で定数を変更できます。 耐圧 16V 以上のセラミック型コンデンサを使用して下さい(チップコンデンサまたはこれにリードを付けたものになります)。 電解コンデンサを使う場合は低 ESR 品を使ってください。 ただし、低 ESR 品でも効率は落ちます。
10uF 1 C2 1uF から 10uF 程度の範囲で定数を変更できます。 耐圧 10V 以上のセラミック型コンデンサを使用して下さい(チップコンデンサまたはこれにリードを付けたものになります)。 電解コンデンサを使う場合は低 ESR 品を使ってください。 ただし、低 ESR 品でも効率は落ちます。
基板 30mm x 30mm 以上 30mm x 30mm の大きさ、または、この大きさに切り出せる両面スルーホール・ユニバーサル基板を使います。

改造の流れ

1. 分解
底蓋、電池ケース、筒、豆電球、ランプカバー、反射鏡に分解します。 ランプはランプカバーと反射鏡を分離します。豆電球を外し、その穴に割り箸を入れて梃子を効かせて反射鏡を外します。 カバーの外側に力を加えて少し軋ませると外しやすくなります。
スタンドライトを分解
2. LED 入手と選別 - OSPW5111A-Z3 の場合
秋月の OSPW511A-Z3 を使ってみました。Vf=3.4V, If=20mA, 狭角(15度), 30cd, 5mmφ という仕様です。 狭角ですが、意外と光は広がります。10 個単位で購入して、右下の画像の様に気泡が入っていないものを選びます。 10 個買って 2 個くらい有ることがあります。
ノート: 足が長い方がアノード(A)、短い方がカソード(K, 基板写真では Cathode と表現している個所があります)です。 A --|>|-- K
OSPW5111A-Z3 10 個入りの袋 気泡が入っている LED が混じっている
3. LED を反射鏡とランプカバーに組み付ける
反射鏡は電気を通すので、マジックやペイントで絶縁します。 特に穴の内側は LED の足と接触する可能性がある場所なので、重点的に 絶縁対策して下さい。 塗装で反射鏡が溶けないかどうか注意して下さい。 今回 LED はコルクシートに差し込みました。 向きや間隔を微調整しやすくするためです。 ユニバーサル基板を使う場合は、反射鏡の穴の大きさと LED 4 個の大きさはピッタリ一致しませんので、足の向きを微調整してください。 反射鏡を絶縁処理しますが、用心のため足や基板と反射鏡が接触しないようにして下さい。 LED に大きな電流を流す場合(目安として 20mA 以上)、耐熱性がある接着剤を使用して固定してください。 耐熱性がないホットボンド等では発熱で溶けてしまいます。
注意: 下の画像ではコルクシートへの組み付けと反射鏡との合体を別々にしているように見えますが、 実際は LED, 反射鏡, コルクシート の全てを一体にした状態で位置や高さを調整しています。
LED をコルクシートに刺して位置決めをする。反射鏡の穴の大きさを把握するため、シートに反射鏡の穴を書き写した方がやりやすいと思う。 反射鏡に接着。反射鏡は電気を通すのでペイントするか、LED の足を絶縁する。LED 4 個は穴を通すことができないので LED の足を 反射鏡の穴に通してコルクシートに刺し組み立てる。
4. 基板切り出し
基板を 30mm x 30mm の大きさに切りだします。電池ボックスの上に丁度乗る大きさです。糸ノコで切るか (専用の切断工具)を使うのが理想です。
ちょっと危険ですが、私はカッターナイフで切りだしました。硬い定規を当てて、カッターナイフで両面に切れ目を入れます。 切れ目の深さと広さが適当に(大体裏表とも 2, 3 割の深さ、注意して力を加えるなら 1, 2 割の深さに)広がったら、 万力などで 挟んで割ります。ランドに刃先の方向を取られやすいので、何回も同じ筋に切れ目を入れます。深さを稼ぐよりも、 筋が少しずれても良いので、幅がある溝を掘るようにすると割れやすくなるようです。
基板を 30mm x 30mm の大きさに切りだす
5. 部品実装
同等の部品が手に入るとは限らないので、配置の参考にして下さい。
  • 何箇所か一つのランドに複数の足を差し込んであります。
  • 左上 2 箇所の丸が電源です外側が+、内側が−です。
  • 左中の 10uF のマイナス側は基板から浮かせてあります。部品の大きさ次第ですが、配置を別の場所にするのも良いかもしれません。
  • 1S2076A の下に 4.7KΩを並列して実装してあります。
  • 33Ωの抵抗器の足にフェライト・ビーズを通して実装してあります。
  • LED のアノード(A)は 11EQS06 のカソード(K)に接続してあります。
  • LED のカソード(K)は 2SK2796(S) のソース(S)に接続してあります。
部品実装
配線
6. 配線取付
左下が電池に接続する配線で赤が+、黒が−です。右上が LED に接続する配線、橙がアノード、青がカソードです。電池に接続する配線は短めです。 基板の直下が電池ボックスになるので 5cm 程度まで短くできます。余裕を持って 10cm 有っても構いません。LED の配線の長さは長めです。 筒を通しランプをねじ込むため、何回転か捩じられます。筒の 2 倍程度の長さにしておく方が良いでしょう。撚っておくとノイズの放出が少なくなります。
配線取付、ランドがないので部品の足に直接半田付けします
7. 電池ボックス改造
電池ボックスのランプ部分を取り除きます。ニッパーで噛みながら切り落としました。 カッターなどで切れ目を入れてから、ラジオペンチでもぎ取るのも良いかもしれません。 素材にあまり粘りがないので、簡単に落とせます。 電極は基板を載せるため畳みこみます。開いている状態で半田付けを済ませてから、 畳んだ方が作業がしやすくなります。電池から延びる極が+、スイッチ側が−です。
電池ボックスからランプを差し込む部分を切り取ります
8. 電源接続
電源を接続して、接触しないようにテープで絶縁します。カプトンテープを使用しました。 長期間の使用でも変質しないような材料で絶縁してください。包装からプラスチックシートを 切り出して工夫してみるのも良いかもしれません。
電源接続
9. LED 接続
LED に接続する配線は筒を通してから半田付けします。蓋閉めで捩られるので LED 側は熱収縮チューブで、電池側も接着剤、あるいはテープなどで補強してください。 LED 側の配線が終わったら、LED の向きや高さを微調整して接着剤で固定します。
LED に接続する配線は筒を通してから半田付けします LED の根元は熱収縮チューブで補強します。
10. 組立点灯
基板は電池ボックスに接着固定します。今回の改造ではテープを張った上に接着したので、力いっぱい引っ張ると剥がれます。 普通に使う分には十分耐久性はあります。固定方法はもう少し検討の余地があるかもしれません。
電池ボックスと基板を筒の中に入れる ランプを取り付けて点灯

使用可能な電池

マンガン電池、アルカリ電池、ニッケル水素電池、(試していないですが)オキシライド電池が使えるようになっています。
LED に流れる電流は電池電圧に比例しています。残り容量が少なくなってくると暗く点灯します。ニッケル水素電池は 過放電に弱く、自己放電もあるので次の充電まで時間が空く場合なども考慮して、暗くなったら早めに電池を交換してください。 ニッケル水素電池は電圧が低いですが、容量が減ってゆく途中経過において、 マンガン電池、アルカリ電池よりも高い電圧で放電します。使用している最中の明るさき大きく変わりません。 オキシライド電池を常用する場合は LED に流す電流を規格より小さめにして下さい。初期電圧が高いので LED を破壊する可能性があります。
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