ASUS の USB アクセサリを GIGABYTE のマザーボートに接続する


お約束


何をしたかというと

ASUS 製の USB ポートアクセサリ(拡張用オプション)を GIGABYTE 製のマザーボード GA-6OXM7E に接続して休眠中の USB Front ポートを活性化させました。当然両者の間には互換性は無かったです。でも半田ごては不要な改造でしたし、結局のところお手軽に USB 2 ポートを(しかもルートハブで)増設できました。

道具をそろえましょう

この記事では次の道具を使います。揃っていなかったり、説明を見て何の事だかさっぱりわからない場合は改造を諦めたほうがいいです。
精密ドライパーセット ケーブルヘッダを分解するのに使います。ケーブルヘッダを分解したことが無かったり、その構造を見てどのように分解するかわからない場合は、改造を諦めたほうが無難です。
圧着工具 フラットケーブルと分解したケーブルヘッダーを再圧着するのに使います。なまじペンチなんかで代用しようとすると失敗します。せいぜい小型万力で代用するのが無難です。小型万力も力の加え様や、圧着中の押さえに一工夫いります。
テスタ 最低限導通チェック機能と電圧測定機能が使えるものを使用してください。特に導通テストをせずにいきなりマザーにつなぐのは、コンデンサの破裂やどこからかの発煙の可能性が高く非常に危険です。それから、ケーブルの導通チェックのためケーブルヘッダの穴に挿せるくらいの細い単線(抵抗やコンデンサの足で良いです)を用意して下さい。
スイッチ付きタップ 万が一の発煙、発火事故に備えるため、PC の電源はスイッチ付きタップからとるようにしましょう。電源ユニットのスイッチは遅延時間付きで OFF したり、最悪効かなくなる場合も想定できます。
ドリルと直径 1mm 以下の刃 ケーブルヘッダの 9 ピンが塞がれているのでこれに穴をあけます。ドリルは手回しまたは小型の電動の物があると良いです。ボール盤があれば最高です。ドリルの刃がない場合は細い釘(真鍮釘)から頭を取ったもので代用する手もあります。
ねじ回し 当然ケースの開け閉めやカード固定ねじを回すのに必要な道具です。

まずそのままでは無理を承知で買った

私の手持ちのマザーボードは GIGABYTE GA-6OXM7E (3DIMM 仕様、しかも Non DualBIOS) です(殆ど頂き物に近いのでそれでも有り難く使っています)。それに ASUS の USB アクセサリを付けようというのですから初めから相当無理だということを覚悟していました。下に買った ASUS の USB アクセサリを示します(もう既に改造済みの写真です)。ぱっと見で USB アクセサリと分る代物です。

ASUS USB/MIR REV. 1.11

まあそれでも、次の様にすれば何とかなるだろうと目論んで買ってしまいました(確か 500 円だったかな)。ケーブルの途中で配線をスワップするという方法です。AT 互換機の世界でも FDD ケーブルにある途中のよじれなどに見られる手法です。

ケーブルの途中で配線入れ替え

秋葉原には他にも似たようなアクセサリが多く並んでいるのだけれどあえてこれを選んだ理由は、なんと言ってもケーブルが長く改造に向いていることでした(本当は良いことでは無いのです)。ただし、この目論みが十分に理にかなっているかというと、そうではないことも十分に承知していて、次のような問題があることも分っていました。

じっくりと観察

まず USB アクセサリの本体から見ていきます。パターンを追っていくと次の様になっていることが分りました。パターンを追うのに導通テスタは必需品です。全ての部品をそのままにすることにしました。電源に入っているバイパスコンデンサは有る意味お約束的存在です。そして USB 信号の途中に抵抗とコンデンサが入っているのも恐らくは USB コネクタの部分で乱れるインピーダンスを調整するのが主目的であるはずです。

ASUS USB アクセサリ解析写真


配線改造

本当は丁寧にケーブルヘッダの分解方法と組み立て方法を解説したほうがいいのですけど、時間の都合で飛ばします(時間が有ったら書き足します)。配線スワップ回路はちょっと後回しにして、改造後のケーブルヘッダの写真を先に紹介します。

スワップ部分の写真、5, 6 ピンは一度配線ミスをしたので真っ直ぐにならなかった。

写っているケーブルヘッダが GIGABYTE のマザーボードに挿しこむ方のものです。1 ピンの線は一番上側の少し赤い配線です。ケーブルヘッダには△で示されいます。写っていないケーブルヘッダの方は ASUS 製 USB アクセサリを接続します。
ケーブルヘッダの左側で配線スワップをします。右側に少し配線がはみ出していますが、はみ出さないほうが信号に悪影響が出ずに済みます。不精して元々圧着してあった部分まで残してしまいました。元々圧着してあった部分は、再圧着する前に切れ味の良いニッパーやはさみ(庭いじり、トタン板切断用)できれいに切り落としたほうが良いです。 GIGABYTE マザーボードには 9 ピンが存在します。ASUS の USB アクセサリに付いてくるケーブルヘッダは 9 ピンが塞がれているので穴をあけます。幸いにも塞がれた穴の内側にはこっそりとコンタクト用の金属片が挿入されていました。ケーブルヘッダを取り付ける向きは一度ケーブルを張ってみて、無理が無い方向に付けるのがいいです。

それでは後回しにしていた回路を次に示します。特に注意は無いのですが、写真で見ると 5, 6 ピンが少しねじれているように見えます。しかし、配線のとおりまっすく結線されています。実は一度配線を逆にしてしまった後遺症でこうなってしまいました。 GIGABYTE についてきたマニュアルでは USBP0- と USBP0+ とピンの対応がはっきりとは書かれていなかったので逆接続をしてしまいました。

スワップ部分の回路図


試してみる

改造が終わったからといってすぐにつなげて使うのは危険です。次のような順で正常に機能するのか試すことをお勧めします。

配線チェック まずは回路のとおりケーブル配線が済んだかどうか確かめます。隣同士のショートが無いかも確かめます。おかしい場合はスワップが正しいかどうか、そして圧着がうまくいっているか確かめます。
電圧チェック(1) USB アクセサリをマザーボードに接続し(慎重を期すならばケーブルだけ接続し) Vcc1, Vcc2, GND1, GND2 に電圧が正常に掛かっているか確かめます。Vcc1(+) - GND1(-) 間が約 +5V になるはずです。Vcc2(+) - GND2(-) 間も約 +5V です。それから GND1-GND2 間は 0V のはずです。違っている場合はケーブルを挿す向きを点検します。
電圧チェック(2) USB アクセサリをマザーボードに接続し 電解コンデンサの両端に極性どおりの電圧が掛かっているか確かめます。2 つのコンデンサとも約 +5V が掛かります。違っている場合はケーブルを挿す向きを点検します。逆電圧が掛かっている場合はコンデンサが爆発するので直ちに電源を切ってください。
USB 信号チェック USB PnP 機能が使える OS を起動して(Windows 98 以降や Windows 2000 が最適です) USB アクセサリの USB コネクタに USB 機器を挿しこみます。マウスなど安く、動作も確実なものがお勧めです。認識が行われ正常に動作するかどうか確かめます。認識がされないとか、認識されるが不明な機器になる場合は、USB のデータ信号配線 D-1, D+1, D-2, D+2 が間違っていないか確かめます。チャネルの入れ違い、+/- の逆接続などが考えられます。2 ポートとも確かめます。

以上が終われば晴れて USB ポートが増設に成功したと言えます。

結果

結果として増設した USB ポート 2 ポートは使用可能になりました。とりあえず低速デバイスのマウスとキーボードに使っています。BIOS によって Power ON 直後から USB-PS/2 エミュレーションも効いています。
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